ICOの裏側 〜DApps総研研究員レポート〜|DApps(ブロックチェーンを活用したアプリケーション)のことなら

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ICOの裏側 〜DApps総研研究員レポート〜

ICO(Initial Coin Offerings)はお賽銭でも投げ銭でもない。また、返済する必要のない融資でもない。投資家から資金調達をする手段である。したがって、資金提供してくれる投資家に対する説明責任は発生するし、投資家を含め、プロジェクトの進捗を見守る人たちに向かって情報発信していくべきである、と私たちは考えている。

 

これは、海外の著名メディアのライターであるJohn氏も同様の思いを抱いているようだ。彼は先日、下記の記事をTech Crunchに掲載している。

 

▼英語記事

The New Normal

https://techcrunch.com/2018/10/17/the-new-normal/

 

▼翻訳記事

資金調達の新たなる「普通」

https://jp.techcrunch.com/2018/10/20/2018-10-17-the-new-normal/

 

 

この記事にも明言されているように、ICO実施後の情報発信(PRやコミュニティマネジメントなども含む)において、ICO主催者たちはIPO主催者に比べて説明責任を果たそうとする意識が薄いように見受けられる。その証拠に、先日私たちが実施した調査結果をお伝えしたい。

 

DappRaderというサイトがある。ここに掲載されているDApps(ブロックチェーン・アプリケーション)のうち、過去7日間に10ETH以上のトランザクションがあったものを調査対象とした。120のDAppsをリストアップし、それらの開発元情報、問い合わせ先(コンタクトフォームやメールアドレスなど)の有無を確認した。その結果、衝撃の結果がわかった。

 

120個のDappsのうち、40個ほどにおいて開発元情報(会社やプロジェクトの情報)も問い合わせ先も見つからなかったのだ。これらの情報が掲載されていた場合でも、見つけるのに時間を要したものが大半だった。

 

もしこれがICOと同様に投資家から資金調達する手段であるIPOだった場合、このようなことは一切許されないだろう。IPOの場合、証券会社が主幹事となり、投資家へ株の購入を勧誘、販売する。実際にその株を販売するかどうかは、新商品導入検討会議などと呼ばれる会議にて、慎重に吟味される。株を発行する会社に事業を継続するだけの資金力があるか、それを可能にするビジネスモデルになっているかなど、非常に厳しいチェック内容となる。

 

これで終わりではない。株を発行した後は株主に対し、定期的な情報発信が求められる。もし一切の情報発信をしなければ、株主から説明を求められるであろう。なぜなら、投資家の関心の的は「調達した資金はどのように使われるか」「株価が購入時よりも高くなるか」「高くなる、といえる根拠は何か」「事業が経営者たちによってきちんと運営され、成長し続けることはできるかどうか」といったことだ。

 

事業運営者、すなわち経営者には、これらを投資家に対して伝え、納得してもらう義務がある。そのための情報発信こそがIRであり、ICOプロジェクトにもあってしかるべき機能だ。

 

しかし、実際のところ、ICOプロジェクトのIRはお粗末といっても言い過ぎではないだろう。もし手元に120社の株に関する情報があったとしたら、それには必ず「どこの会社の」「誰がCEOであり」「IR情報がどこに掲載されているか」などについての記載があるはずだ。それが当然だ。

 

一方、IPOプロジェクトはどうか。120プロクジェクトのうち、1/3でこれらの情報が公開されておらず、大半がその情報を見つけるのに苦労した。情報公開しているだけでもマシな方、と言えるだろう。情報発信していても、途中で途切れてしまっているケースもある。

 

このような状況を見て、ICOプロジェクトが説明責任を十分に果たしている、とは言えない。これからのブロックチェーン・アプリケーション、およびその開発元には、IPO企業と同様の情報公開および発信が求められるであろう。もし本気で世の中を変革しようとし、その支援をしている投資家を大切に思うICOプロジェクトであれば、情報発信するであろう。