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DAOのコストダウン効果は本当?

2019.02.25

コラム

DAOのコストダウン効果は本当?

新たに脚光を浴びるDAO
近未来の社会を支える重要な技術として、ブロックチェーンの普及・拡大が見込まれていますが、その応用可能性や最終的な形態については、まだまだ未知数なところも大きいといえるでしょう。ブロックチェーンを基盤技術とするものでは、仮想通貨が先行していますが、市場や社会に与えるインパクトはこれにとどまりません。

中でも注目されるものに、スマートコントラクトを導入したDAOがあります。あらゆる業種業態におけるビジネス現場や公共分野での効率化と透明化が進むと考えられる、全く新たな組織形態ですが、そこに寄せられる期待は本物か、今後どのようなことが実現され、何が変わっていくのか、今回はあらためて冷静に考えてみることとしましょう。

DAOについて
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの頭文字をとった略で、日本語では一般に「自律分散型組織」と呼ばれているものです。スマートコントラクトが、ある契約について、あらかじめ定めた内容と条件に基づき、コンピュータプロトコルによる条件チェックから契約の確実な履行まで、全プロセスを自動的に実行するものであるように、組織運用や経営が自動化されたネットワークといえ、ブロックチェーンによって特定の管理主体もリーダーも存在しない、分散的で非中央集権的な集まりとなっています。

意思決定プロセスや契約取引、トラブルの解決など、あらゆる活動は従来のように“人”を介在させるのではなく、あらかじめ全体の合意によって定め、プログラミングしたプロトコルによるルールに従い自動執行されるものとなるため、悪意のある参加者が存在しても何ら問題なく、個々の自由活動を維持するに必要なエコシステムを機能させるインセンティブの仕組みだけで回転し続けることになります。

このDAOのメリットとしては、インターネット上でごく緩いつながりをもった人々が、トラストレスに、かつ高度な認証や信用性の確保を必要とする合意形成を図れる、取引ができるという点がまず挙げられ、加えてそれがブロックチェーンにより改ざんがきわめて困難で障害にも強いさらなる安心・安全性をもっていることがあります。

さまざまな売買取引が活性化し、これまでにない経済圏が創出されることはもちろん、雇用の形態も変化し、必要なスキルをもったビジョンを同じくする人々が、世界中からプロジェクトに参加するといったより創造的で柔軟なものとなる可能性があるでしょう。

高い透明性をもったDAOの仕組みは、公共的なサービスの最適化を進め、一部の権力者による悪用を強力に防ぐものともなります。

こうしたメリットのほか、しばしば大きな利点とされるところにコストダウン効果もあります。各契約は自動化された直接取引となるため、中間管理者など仲介者の存在が不要となり、これまでの仕組みで必要だった中間マージンや各種手数料も不要になって、無駄なコストが削減されるというものです。

実は管理者がいる方が簡単で安い?
しかし、コストダウン効果に関しては、より多面的に考えることで疑問視する向きもあります。確かにDAOは、既存の売買取引において信用補完を担っている第三者や、取引コストとして手数料をとる中間管理者の権益をなくし、報酬を支払う必要もないものとします。マージンのカットはコストダウンの基本です。

しかし物やサービスの管理というものは、中央集権的にひとつの場所に集中させて行う方が、はるかに簡単で効率的、コストがかからないという面もあります。大手企業の大規模な階層構造、中央集中管理によるコスト面の強さを考えれば、容易に理解できます。

データが分散的に何万もの場所に散らばっていれば、検証や保管などシステムの維持に膨大なコストがかかることは否定できません。DAOのような仕組みは入念な開発・設計による構築がなければ、いとも簡単に崩壊してしまいますから、そのためのより慎重な開発プロセスにかかるコストも膨大になりがちです。

小さなバグや脆弱性の存在も、全てを破壊するものになりかねません。中央集権的な仕組みであれば、管理主体が指示を出し、手を入れれば改良される問題も、DAOでは致命的欠陥やきわめて乗り越えることが困難な課題になり得ます。

そうした芽の摘み取り、全体の合意を必要とするメンテナンスやアップグレードの煩雑さ、ネットワークとしてのスケーリングの難しさはDAOの大きなハードルであり、そこにコストがかかることも事実です。

独立し、等しい権限をもって行動する不特定多数のユーザーをインセンティブによってうまく引きつけ、管理主体が行っていた作業を、それぞれが請け負うDAOは、管理調整やシステム構築のコストにおいて、分散的である分、その総量が中央集権的従来の組織よりかさんでしまうケースも少なくないのです。

少なくとも現段階の現実問題として、コストダウンにつながるかどうか、メリットがデメリットや課題を大きく凌駕するものになるかどうかは、適用方法やその領域特性によると考えるべきでしょう。

このように課題も多いDAOですが、やはりその将来性と可能性には非常に大きなものがあります。インターネットの登場・普及に続き、新たな社会の仕組みを作り上げ、より創造的な価値を創出していくものとして、うまく活用していくことが重要になります。

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(画像は写真素材 足成より)