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スマートコントラクトの実用化ハードル、外部情報が使えない?

2019.02.22

コラム

スマートコントラクトの実用化ハードル、外部情報が使えない?

スマートコントラクトが変える世界
昨今、スマートコントラクトへの注目が急速に高まっています。とくにブロックチェーンと組み合わせて適用する事例に関しては、あらゆる業種業態への応用が見込まれ、ビジネス現場から公共サービスにいたるまで、私たちの身近なところにある社会の仕組みそのものが大きく変化する可能性も指摘されるようになりました。

一方で、スマートコントラクトとブロックチェーンによる仕組みや、それが実現する世界の具体像については、まだ多くの人が描きかねている状態で、漠然としたものにとどまっているのも実情でしょう。まずはそれがどのようなもので、どう付き合っていくべきか、知識を深めねばなりません。

そこで今回は、簡単にスマートコントラクトの内容をさらった上で、実際にそれを活用していく際、どのような問題が生じ得るのか、抱かれている期待に対し、どういった懸念点や課題があるのか、主に情報の取り込みといった観点から、解説していきます。

スマートコントラクトとは?万能視は幻想?
スマートコントラクトとは、その語感からも推察されるように、次世代的契約のスタイル、端的にいうと、先端技術によって支えられた自動契約のかたちです。

従来の契約取引のように、信用を確保するための第三者や機関など、仲介者を必要とせず、あらかじめ全員の合意により定めた執行条件と契約内容をプログラミングし、条件を満たす事象が生じた時点で、契約の作成から条件確認、執行・成立まで全て自動的、かつ強制的に完了させる仕組みとなっています。

ブロックチェーンを利用することで、透明性の向上と高い不正改ざん防止効果、障害リスクのない安定性、トラストレスなユーザー同士による非中央集権的直接取引が実現可能となるため、公平性や安全性を確保したより柔軟なやりとりが可能になると考えられています。確実な契約の履行とそれに要する時間や手間の削減、仲介者にかかっていたコスト分のカットや不正リスクをなくすことができる点もメリットです。

私たちの生活は、日々の消費活動から労働・雇用、各種サービスの利用と提供、資産運用、権利関係から婚姻など人との関係性にいたるまで、さまざまなところである種の“契約”によって成り立っています。

そして、そこに仲介者としての人が存在するのは当然とされてきましたし、全体を管理する特別の権限をもった主体が存在することも当たり前、変えられない階層構造が当然として受け入れられてきた現実があります。スマートコントラクトは、こうしたきわめて広い領域を対象とし、そのあり方を抜本的に変える可能性をもっているため、実用化・普及に伴うインパクトは強大なものになるとみられているのです。

しかし、膨らむ期待の一方で、ブロックチェーンを活かしたスマートコントラクトの仕組みも万能ではありません。契約における条件設定に注目して考えてみましょう。

人を介さないメリットとデメリット
スマートコントラクトの執行条件は、あらかじめネットワークの参加者全員から合意を得たものでなくてはならず、それをプログラミングしてブロックチェーンに書き込んでおく必要があります。契約執行に際し、参照すべき情報についてもこの原則が厳格に適用されます。状況判断を含むロジックは全て盛り込まれた通りで、それ以外は一切考慮されません。

むろん、それこそが公平性・透明性・確実性のポイントであり、人の裁量に委ねないゆえのメリットでもありますが、不確実な未来を必然に含む契約において、最新の外部情報を利用できないこと、その融通の利かなさはしばしばデメリットにもなり得ます。

プログラミングする現時点では未確定で定義できない、曖昧な内容や解釈を要する事項、全く想定できなかった事態にも可能な限り誠意をもって対応する義務といった調整が必要なケース、契約内容そのものの改変許可を一定程度含めるケースなどでは、スマートコントラクトによる処理が適さず、やはり仲介者が必要になるでしょう。

また、スマートコントラクトの場合、書き込まれたコードが絶対唯一の法として機能してしまうため、もともと不当表示による処理や不正データが故意に含まれたものとなっていれば、不正が不正のまま処理されてしまいます。ネットワークの中だけでは、不正や虚偽もまた真実となってしまうリスクを排除できません。

もちろんプロトコルとして、出力実行時にバグやエラーを起こしてしまうことも考えられます。書き込み時の見落としや表現省略などから、合意と異なる結果が出て初めて、問題が大きく表面化するということもあるでしょう。

いずれの場合も、ブロックチェーンをベースとするスマートコントラクトでは、自動処理結果が動かすことのできない絶対のものとしてブロックチェーンに記録され、間違いや問題を含んだまま強制執行されることになります。

こうした問題に対応するため、ある程度の自由度をもたせる工夫や、外部情報を取り込む機能の実装など、技術の改善も進んでいますが、実用化に際しては、より慎重に安全で現実的な設計となるよう、開発から導入・活用まで工夫が必要となるでしょう。

ブロックチェーンとの組み合わせによるスマートコントラクトの仕組みは、非常に有望なものであることに変わりはありません。しかし、それは全てを代替するものではなく、適・不適を見分けて活用していくべきものでしょう。その中での技術確立と応用こそ、革新的で創造的な未来を作り上げていくと考えられます。

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(画像は写真素材 足成より)