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承認アルゴリズム「PoW」に潜む問題点とは?

2018.12.15

コラム

承認アルゴリズム「PoW」に潜む問題点とは?

難題を解決したはずのアルゴリズムにも弱点?
昨今ブロックチェーン技術には高い関心が寄せられており、その将来性もおよそ確実なものとしてみえてきています。オープンなP2Pのネットワークによる高い透明性と、互いに担保し合う信頼性の高さ、複数ノードが参加する限り永続的に運用されていくゼロダウンタイムの安定した仕組みなど、ブロックチェーンが社会にもたらす益はきわめて大きなものとなるでしょう。

ブロックチェーン技術概念の活用では、現時点で仮想通貨が最も先行した事例として広がっており、ブロックチェーンを基盤技術とするさまざまな仮想通貨の取引が活発に行われています。

一方ブロックチェーンには、そもそもP2Pネットワークとして、中央管理者を置かない分散型システムをとるものであることから、取引に不正がないことを確認し合うなど、必要なシーンで参加者の合意をいかに適正に形成していくかという点に大きな難しさがあり、そこに現実的な解決策を与える工夫が仕組みとして求められるという特性があります。

そこでポイントになっているのが、コンセンサスアルゴリズムとインセンティブの組み込みであり、アルゴリズムとしては複数タイプが考え出されていて、ビットコインなどでは「PoW」方式が採用されていることをみてきました。

PoWは、計算量をベースに発言権の付与を決める、シンプルかつ画期的なアルゴリズムですが、これを採用することによるデメリットがないわけではありません。何事にもメリットがあればデメリットがあり、改善すべき問題点もあるものです。技術を用いる私たちは、その両方を踏まえた上で、賢く活用していく必要があります。そこで今回はPoWがもつ問題点について、考えていきましょう。

必要とされる膨大な計算をめぐる問題
PoWと略される「Proof of Work」では、ネットワーク上にある不特定多数のノード全てに等しく参加の権利があり、ブロックの生成・追加に必要な計算リソースを投下していち早く結果を出した者、運用に貢献したノードに発言権と報酬を与えます。

これは最終的にみなで同じ1つのチェーンを管理するということであり、全体の意思決定、合意形成を適正に図っているといえる手法です。

マイニングと呼ばれる作業にかかるノード(マイナー)は、チェーンの連結に必要なハッシュ値をできるだけ小さくし、条件を満たすものとなるような、使い捨ての特別な値であるナンスを探す計算処理を行います。総当たり的な計算で、膨大な処理が必要ですが、最初に解を発見すると、それによってブロック生成と追加が可能になり、報酬を得る権利が得られます。

発見されたナンスとなる解は、他のノードへ伝えられ、受け取ったノードによって検証されて、正しいことが確認されればさらに次のノードへと伝播、ネットワーク全体に広がってチェーンになっていきます。

検証作業では、ナンスが発見されているので、ごく単純なハッシュ関数の計算処理を行えばよく、実に容易に進みますが、ナンスの発見にかかる計算は難易度の非常に高いもので、あらゆる計算資源を多量に必要とします。

動かすのはコンピュータですから、消費される電力量も非常に多くなります。いうまでもなく、エネルギー資源は有限なものですから、運用におけるその浪費は大きな問題のひとつです。2018年の時点で、すでに世界全体の消費電力のうち、0.6%がこのマイニングに費やされたというデータもあり、その割合はアルゼンチン一国の年間消費電力量と同程度にあたるまでになっているのです。

幅広い応用と長期にわたる運用の持続可能性の観点からみたとき、その資源浪費はさらに無視できない問題となるでしょう。

本当に平等?現実は・・・
また、これだけの計算力競争に勝つためには、きわめて高性能なコンピュータシステム、個人では不可能と思われるほどのリソースが必要となってきていることから、公平性に疑問符がつき始めている点も問題です。

ネットワーク上の誰にも携わることができるマイニングであったはずが、その計算処理に特化した高額な専門のコンピュータ(機械)が出回って使われるようになり、それを導入した事業者に報酬としてのコインが独占される事態が発生してきています。

みなで支えていく仕組みが命のシステムにとって、こうした一部の事業者や国家団体のようなものが独占的に権限を有するようになり、実質的にそのブロックチェーンの管理・運用がおよそ支配されてしまう可能性が出てくると、それは致命的なリスクといわざるを得ません。

ネットワークに参加するノードの総計算能力で過半を占めると、不正なブロックの生成とそのチェーンを正規のものとして通すことが可能になってしまう51%攻撃の問題もあります。

通常は現実的に不可能であり、合理的でないため発生が防がれている51%攻撃ですが、参加ノードの少ない規模の小さなネットワークで、そもそものマイニングパワー総量が少なければ、悪意あるノードの単独行動でも攻撃が可能になり、問題が現実のものとして表面化するという懸念もあるでしょう。

大きな規模になることで生まれる、圧倒的な力による独占のリスクと、小さすぎる規模であるゆえに不可能が可能になってしまう攻撃のリスク、それぞれがPoWにおける仕組み上の特性としてあることを理解しておく必要があります。

いかがでしたか。このように画期的なアイデアと考えられたPoWにも、問題点と認識されるデメリットが存在します。PoWを採用するブロックチェーンに参加する場合には、これらの点に留意しておきましょう。

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(画像は写真素材 足成より)