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PoWの問題点を受け誕生したPoSとは?

2018.12.11

コラム

PoWの問題点を受け誕生したPoSとは?

もうひとつの代表的コンセンサスアルゴリズム「PoS」
近年はブロックチェーン技術に高い関心が寄せられ、それを基盤技術とする仮想通貨(暗号通貨)は、中でも取引や活用が活発化している領域です。投機的面で注目されることも多いものの、関連アプリサービスの開発や実世界での決済利用対応なども進み始め、身近に感じる方も増えているでしょう。

こうしたブロックチェーンや仮想通貨ですが、そのネットワーク特性を支える大きな特徴として、従来のWebサービスや国家、事業者サービスなどのように、特別の権限を持った管理主体が存在せず、参加する皆が同等な地位にある非中央集権的仕組みであるという点が第一に挙げられます。

この中央管理者・管理ポイントが存在しないということは、高い透明性と信頼性、障害特異点を生じさせないことによるゼロダウンタイムの実現など、多くのメリットを生みますが、一方で取引の正しさをどう判断するか、代表者をどうやって決めるかなど、不特定多数の参加者における合意形成を適正に図る点に運用の難しさがあります。

その手法として考え出された画期的なアルゴリズムが、PoW(Proof of Work)というものでした。しかし既にみたように、計算量をベースとするPoWには、電力をはじめ膨大なリソースを消費してしまうことや、51%攻撃のリスク問題など、一部の大手事業者などによる独占をめぐる問題、平等・公平性が脅かされる問題も指摘されています。

不正に強いPoWですが、こうしたデメリットもあり、それを解消する新たなコンセンサスアルゴリズムを求める気運も高まっていったのです。そうした中、代替システムとして生まれた代表的なものに「PoS」があります。今回は、この「PoS」について解説しましょう。

保有コインに注目する「PoS」
PoSとはProof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク)の略称で、直訳すると“資産保有状況による証明”といった意味になります。PoWはビットコインで採用されていましたが、こちらのPoSを採用するものには、後発アルトコインのPeerCoin(ピアコイン)などが挙げられます。

結論からごく簡単にいうと、PoSの場合、コインを保有している量に応じてブロックの承認成功率が決まります。ネットワークの参加ノードの中で、対象となる仮想通貨をより多く保有しているノードこそ大きな存在感を発揮、発言権を得やすくなるのです。

PoSには、大きく分けて2種類のタイプがあります。1つは単純にコインの保有量のみをベースとするものです。この場合、ブロックの承認権限はランダムに与えられますが、その当選確率がコイン保有量に比例するように設計されています。

承認に成功すると報酬が得られる点はPoWと同じですから、コイン保有量の多いノードが、さらに多くの報酬を得られる確率を有することになり、利息が発生するのと似たような状況が生じます。よってこのブロックの生成・承認・連結にかかる作業は、マイニングに対してフォージング(鋳造)とも呼ばれています。

もう1つのタイプは、保有量だけでなく、そのコインの保有期間も考慮する仕組みです。より多くの量を長く保有して参加しているノードを貢献の高いノード、信頼性の高いノードとみなし、マイニングを成功しやすいようにします。

PoWでは、条件を満たすナンスを探すことが非常に困難で、膨大な計算リソースが必要になることを確認しました。PoSにおけるこのコイン保有量と保有期間を掛け合わせて算定するコイン年数を考慮するタイプでは、ハッシュ値を小さくする厳しい条件が、それに応じて緩くなり、ナンスを見つけやすくなるようになっています。

いったんマイニングに成功すると、新規のコイン獲得となってコイン年数が下がりますから、同一ノードが成功しやすい状況を独占し続ける、マイニングの成功を繰り返すという事態も緩和できます。

PoSのメリット・デメリット
このようにPoSならば、PoWのように計算量を重視しないため、高性能なコンピュータや大量の電力消費を必要とせず、PoWのようなコンセンサスアルゴリズムの仕組みを代替、運用していくことが可能です。

不正に関しても、多くの該当資産であるコインを保有しているノードは、ネットワークに不正がまかり通った場合、通貨としての信用性が低下して価格が暴落することになり、より多くの損失を被ることから、そうした悪意のある行動をとる可能性はごく低いと考えられ、基本的に防がれるとみられます。

このようにPoWでみられた問題点を解消し、ブロックチェーンのP2Pネットワークにおける合意形成を図れるようにした点で、PoSは優れているといえます。しかしPoSも完璧ではありません。

コインをより多く、またより長く保有していれば、有利になる仕組みですから、自然とノードがため込みを始め、長期にわたって持ち続ける傾向が生まれてきます。こうなると通貨としての流動性が低下しますから、取引量が減少、市場停滞を引き起こす可能性が高まります。これは運用面で大きな問題となるでしょう。

また、コンセンサスが失敗した場合に生じるブロックチェーンのフォーク(分岐)で、ブロック生成ノードが、複数のブロックチェーン履歴に対し、承認の投票を行うということも、何の損失を被ることなく実行できるため、時間経過による分岐の収束、コンセンサスの解決を妨げてしまう可能性があることもデメリットです。

計算量ベースのPoWと異なり、複数チェーンでの作業コストがほとんどかからないというメリットから、それを悪用し、およそ無料で二重支出にあたるブロックチェーンの再編成、混乱を企図することもできてしまう面があるのです。

そのためPoSを実装する際には、これらのデメリットをカバーする工夫とともに導入することが重要です。このようにPoWを改良したPoSですが、それにもウィークポイントは存在し、さらにそれを改善するアルゴリズムの開発も進んできています。

さまざまなコンセンサスアルゴリズムは一長一短の特色を持ち、試行錯誤されながら、発展を続けていると理解しておきましょう。

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(画像は写真素材 足成より)